Columns|コラムシリーズ8【事業計画の初歩の初歩】全7回

第1回 事業計画とは

 今回のコラムは「事業計画の初歩の初歩」です。

事業計画を簡単に理解してもらうことを期待して、私の経験を元にまとめてみました。


 そもそも「事業計画」とは何でしょう。

文字通り「事業」の「計画」なのですが、

・ どんなことをやって「売上」を上げて

・ どれくらいの「経費」をかけて

・ どれくらいの「利益」をだそうと考えているか

・ その間にお金は続くのか

をまとめたものです。

 特にこれから事業を起こしたい人や、

社内プロジェクトを担当してプロジェクト収支を管理する立場にある人で、

管理会計を経験したことがない人には、

少なくともこのコラムで紹介することは見識としてもっておいて欲しい、

という期待を持っています。

 アウトプットとしてはP/L(損益計算書)とC/F(キャッシュフロー)で表現されますが、

言葉にすると

「◯◯という前提で△△をするから、☓☓という結果になる」

と表現されます。

 前提とは、例えば単価はいくらにする、とか、為

替はいくらにする、とか、人数を何人にする、とか、

事業をする時に必要な条件を設定したものをいいます。

この前提の設定の仕方で事業計画は大きく姿を変えます。


 なんのために事業計画を作るのでしょうか。

自分の事業がある期間がたって「良かったのか」「悪かったのか」を判断する基準になるからです。

それも終わってから「あ〜よかった」とか「あ〜だめだった」といっても意味がありません。

終わってしまったことは取り返しがつかないからです。

管理会計では予実管理と言ったりします。

 1年間の計画であれば、途中3ヶ月たったところで計画と実績を比べてみて、

計画を下回っていた場合、

「どうやったら1年後に計画通りにキャッチアップできるだろう」と考え、

手を打っていくことができます。

逆に計画を上回っていた場合、

この調子が持続するのか、

それとも大きな落ち込みの前兆なのか分析をして、必要な手を打つ、

あるいは計画を上方修正してもっと勢いをつけるのか、

これまたいろいろな行動が想定されます。

 すなわち好調が持続するならもっと成長を目指し、

不調であれば必要な手を打っていくという経営が出来るようになるということです。

 そのためには計画の「前提」を具体的に設定しておくのが大切です。

時間とともにその前提が変わってしまうかもしれません。

為替などはいい例ですね。

1ドル115円という前提だったのが円高になって100円になってしまったら、

ドル建てで取引をしていると1ドルあたり15円も収益がさがります。

 これは予実管理の基本ともいうべきものですが、

実はある程度継続している事業で規模がそれなりにあるところではとても有効な管理手法なのです。

私が前職時代では当たり前のように使っていた管理手法です。

 しかしこれから事業を立ち上げる人にとって、

この予実管理は実はあまり機能しません(笑)

なぜなら新規事業なのでどんな前提が現実的なのかわからないことが多いからです。

社内の新規プロジェクトでどんな事業か経験がない、

あるいは少ない場合も同様です。


 事業計画をつくるには「前提」がとても大切な要素なのですが、

その前提がやってみると全然通用しない、ということがあります。

実際私もシェアハウス事業を起こす前に事業計画を作ってみました。

全然違う姿になっています(^^)

 これはやってみてわかることがあまりにも多く、

最初に設定した前提が役に立たないからです。

1人でやろうと思っていたけどとても大変でアルバイトを雇った、とか、

1個1,000円で売れると思ったけど、競争が激しくて1個800円にせざるを得なかった、とか。

 「予実管理ができないのなら意味ないじゃん」そう言われてしまいそうです。

でも意味はあります。

自分がやろうとしていることが事業として成り立つのかどうか、

青写真を作る必要があるからです。

この青写真は、投資家に説明する材料にもなりますが、

なんといっても事業をやることに対して自分自身に自信をもたせることに意味があるのです。

 どんなに漠然としたものでもいいです。

一度自分の事業がどうなるか数字にしてみましょう。

その結果大赤字になっていたら、きっと何か考えなければなりません(^^)

 大黒字だったら・・・「ほんとか〜」といって何度も確かめましょう(笑)

いろいろな意見を取り入れて、できる範囲で前提条件の精度をあげてみましょう。



次回は「計画書の構成」についてお伝えします。



「第2回 計画書の構成」

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