Columns|コラムシリーズ10【ものづくりに見る価値の創造】全10回

第7回 それぞれの役割〜管理、物流、品質保証、資材調達、CS

前回までは時間の流れにそった、いわゆる“縦軸”ともなる役割をご紹介してきました。

今回からはこれら“縦軸”の役割を担う複数の組織を“横軸”として支える役割をご紹介します。


今回「ものづくり」に比較的直接関係する役割をご紹介しますが「ものづくり」には直接関与はしないが関与する人たちをサポートする

“総務”

“人事”

“広報”

“法務”

“経営ボード”

といった役割についてはどの企業でもあるので割愛することとします。

このシリーズでご紹介するのは

“管理”

“物流”

“品質保証”

“資材調達”

“カスタマーサポート(CS)”です。


【管理】

私の理解では一言で言えば「予実管理」がミッションです。すなわち計画(予定)通りに実績が進捗しているかどうかを把握しタイムリーにその状況を必要メンバーと共有する役割です。

管理会計の手法を活用することが多いためアカウンティングの見識を持っていると取り組みやすい面があります。

その役割の性格上部門のトップと話することが多く私がまだ若手の時代、同期の管理担当が部長と話しているのを見て「こんなに若いのに部長さんと普通に仕事の話ができてすごいなぁ」 なんて思っていたこともありました(^^)


【物流】

ここのミッションは「在庫管理」。

“製造”のところでも触れましたが、在庫は「お金を投じたにも関わらず売上になっていない資産」ですから、鍵のかかった金庫の中にある現金と同じようなものです。

いざ支払いをしたいときに現金がないと不渡りとなって倒産します。そんなとき持っているべき現金が在庫になっていたら泣くに泣けません。

しかし一方でどんどん販売するためには倉庫に潤沢に在庫があることが望ましいですね。

冷蔵庫の中に何か食材があればいつでも料理が作れます。しかし冷蔵庫が空だとなにも作れません。なので、在庫は「多すぎず、少なすぎず」という「適正」なレベルが望ましいのです。

自社の倉庫が常にその適正レベルにあるように、生産計画や運送日程・手段をにらみながら管理する役割なのです。


【品質保証】“製造”の中の機能として“品質管理”がありましたがちょっと役割が異なります。

“品質管理”が「生産された商品の品質が規定水準に達しているかどうかを管理」するのに対し、“品質保証”は「商品の品質を保証するための仕組み作り」をする役割です。

例えば“設計”が「この商品は1年間使えることを保証しよう」と決めたとします。(保証の「レベル」は商品仕様なのでそれを決めるのは“設計”です。)

“品質保証”では顧客が使用する環境を想定し評価の仕方を決めます。高温だったり低温だったり、同じ動作を何度も繰り返したりその評価の項目と基準を定めるのです。

この評価を満たせば出荷後の不良率は◯◯以下が保証できる、となります。形あるものはかならず不良が発生します。なので、保証期間を設定して、 その期間より早く故障した場合はメーカー責任で無償修理対応をしているのです。私が新卒で入社した時に所属した部署がここでした。


【資材調達】

“製造”にも同様の役割がありました。

“製造”における“資材調達”は文字通り直接部品・材料メーカーから調達する役割を担っています。

横軸としての“資材調達”を便器上“本部資材調達”と呼ぶことにします。

この“本部資材調達”は“開発”“設計”をサポートする側です。

ミッションは「安定かつ安価に部品・材料を調達できるルートを確保すること」です。

つまり“製造”の“資材調達”が調達できるルートを“本部資材調達”が設定するのです。

技術的な根拠については“開発”“設計”がその責を負いますが、価格交渉、与信枠の確認、取引条件を設定する責は“本部資材調達”が担うのが一般的です。

時には海外から調達する場合があります。そのため輸入貿易手続についての見識を求められることがあります。


【カスタマーサポート(CS)】

一般消費者向けであれば「お客様ご相談サービス」に通じる部署。

BtoBの場合は法人顧客の窓口になる部署です。

ミッションは「営業以外の顧客サポート」と少々曖昧です。

というのも特にBtoBビジネスでこのような組織が設置されることが多いのですが法人顧客の御用聞きになることが多いのです。

本来営業がやればいいじゃないか、という声もありますが営業の顧客側の窓口は“資材調達”であることがほとんどです。

しかし顧客もこちらの製品を導入するにあたって品質部門や開発部門といった部署が関与してきます。

技術的な打合せや、包括的な事業提携といった話をする場合CSが中心となってアレンジをします。

また顧客が導入するかどうかを決めるためにプロジェクトを組む場合顧客にとっての窓口としてCSがその役割を担います。


今回ご紹介した役割と組織は、開発から商品化までの流れで比較的直接的に関与することが多い部門です。

私自身開発・設計に携わっていた時にとてもお世話になりました。

管理部門は私がプロジェクトリーダーになってからです。

エンジニア時代は自分の技術担当さえやっていればよかったのですが、プロジェクトリーダーになるとプロジェクトの計画を作らなければなりません。

計画といっても時間軸でどんなイベントをこなすかだけでなく事業計画としてどれくらい資金を投じていつからどれくらい回収していくのか、そういう中期的な計画も求められたのです。

アカウンティングの見識が全くない私は管理部門の人の助けを借りてこの計画書を作成しました。

物流部門は計画の段階でお世話になりました。在庫計画と生産計画が密接に関係することと物流費用が事業に少なからず影響をあたえるからです。

おそらく“製造”の立場だったら出荷計画と実行でもっと密接に関わったかもしれません。

また後に経営ボードの一員になった時は在庫削減、物流費削減といった経営課題に取り組む時にお世話になりました。

資材調達部門はエンジニア時代に直接関わることが多かったですが、経営ボードになってからの方が調達コスト削減プロジェクトでお世話になったかもしれません。

CSはOEM顧客を獲得する大型プロジェクトでお世話になりました。この時のCSの人たちはとにかく忙しかった。

なんせ顧客が米国なので書類がすべて英語でそれを“設計”や“製造”の人たちにちゃんと伝達するために、有形・無形どちらにしろ通訳的な役割もあったので処理しなくてはならないタスクが膨大でした。

私は当時技術側をまとめる側でしたがCSのメンバーが窓口でいてくれたからこそその役割に徹することができたと思っています。

大型プロジェクトが成功した時は、嬉しかったですね(^^)



次回はものづくりのプロセスについてご紹介します。

第6回「それぞれの役割〜販売」

第8回「ものづくりのプロセス」

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