Columns|コラムシリーズ8【事業計画の初歩の初歩】全7回

第7回(最終回) 計画にしばられるな

 前回まで事業計画ってどういうものか、

どのように作成していくのかをご紹介してきました。

このコラム最終回では、「たかが事業計画」みたいな視点でお話します(^^)


 事業計画を精度はともかく作ってみたとします。

そしていよいよ事業開始です。

たいていは計画通り進みません(笑)

それどころか計画とはかけ離れた現実に直面すると思います。

実際私もそうでした。

なんせ会社設立して4ヶ月無収入でしたから(^^) 

シェアハウスの物件を手に入れるのって本当に大変。

会社設立してシェアハウス運営まで1年かかりました。

それもちょっとしたきっかけでご縁をいただき。

 私の計画ではシェアハウス運営1年目は1棟、2年目から複数棟でした。

理由は、1年目の1棟目でじっくり経験を積みたい、と思ったからです。

ところが、いざやってみると、物件を調達するのがとても難しい。

私みたいな未経験者に大切な不動産物件を任せてくれるオーナーさんって、なかなかいません。

そりゃそうですよね。

「物件を1棟預かって」なんて勝手に前提をおいていましたが、

誰にあずけてもらえるのか、

何一つ施策前提がないのですから。

 会社設立して5ヶ月目でシェアハウス向けリノベーションを得意とする

建築設計事務所のお手伝いさせていただく縁をいただきました。

自分ではなんとも手に届かなかったシェアハウス物件の取引が

目の前で展開されています。

この事務所でお手伝いさせていただき初めて気づくのです。

「情報が集まるところに身をおくことが最初の一歩」と。

事業する前はもっと簡単に考えていたフシがあります。

それでは事業にならないことを痛感しました。

 その後縁あって事務所からの紹介で1棟目をお任せいただいたのですが、

すぐに「別の物件もあるけどどう?」と打診がきました。

ただでさえ見つけることが大変なシェアハウス用物件。

複数棟は2年目から、なんて悠長なことはいってられません。

面白そうなコンセプトがつく、という話もあり、

2棟目のお話もお受けすることにしました。

 ところがつくはずのコンセプトの企画者が途中で離脱。

実質コンセプトをつける間もなくオープンせざるをえなくなったのです。

困りました。

オープンしたものの、入居者はいっこうに増えず・・・

最初の2ヶ月は「この後どうなるのだろう」というくらい

先行きが見えず不安にさいなまれました。

「だから事業計画では2年目に、って計画したのに」

と言ったところで始まりません。

必死に考え分析し、手をうちその後3ヶ月で満室が見える所まで来ました。


 このように事業計画をたてたものの、

現実はあまりにもかけ離れたことがおこっており、

正直まったく計画通りにはいきませんでした。

しかし、それでいいのです。

ここでの大きな学びは事業計画で考えていた世界が、

「とても狭かったこと」です。

事業計画で前提まで考えていたからこそわかるのです。

自分の知っている世界と現実とのギャップ感。

どれくらいギャップがあったのか、

会計年度が終わったらレビューしてみてください。

あまり時間をかけずに(^^) 

なぜなら立ち上げ当初は日々やることに追われて、

振り返ってる時間をとることはなかなか難しい。

 事業計画をたててもそれにとらわれることなく、

事業を進めていきましょう。

事業計画を通じて一度表に出した自分の世界の小ささを認識し、

次の会計年度ではそのギャップを埋めるように計画をたててみましょう。

前年度に考えていた前提の幅と深さが大きく変化していることを実感します。

そして実践です。

するとまた計画が大きくはずれます(笑)

そしてギャップを認識し、また次年度に反映する。

これを繰り返すことで、事業計画の精度はあがっていきます。

精度があがると何がいいか。

事前に手を打ちやすくなります。

市場や環境がわかるようになり、

1年という短い期間でもある程度予測可能になってきたら、

早めに手を打つことが可能になり、

生産性がぐっとあがってきます。

 1年後に大きな投資が必要だから、

今のうちに資金調達の可能性を各方面に打診しておこう、とか。

ぐっと需要が伸びるから今のうちからバイトの手配をしておこう、とか。

早めに手をうつと、直前にありがちなミスやどたばたが減ります。

無駄なことが減るわけです。

それが生産性の向上に寄与するのです。


 事業計画を作る意味。

それは単なる計画でもなければ予言でもありません。

株主などの投資家に対する説明のため、という要素もあります。

出資者に納得してもらう計画を作り説明し理解を求めることは、大切な活動です。

 でも私はより質の高いサービスを提供していくためのツールであるとも思っています。

最初はトレーニング的要素が強いかもしれません。

でも精度があがることで事前に手をうち、

生産性があがり顧客の満足度をあげられる、

そんな流れを作るツールです。

 最初はめちゃくちゃでしょう。

でも継続することが力になります。

ぜひチャレンジしてみてください。



今回のコラムは以上です。

次回から新しいシリーズをお届けします。



「第6回 キャッシュフロー」

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