Columns|コラム【論語と私】全11回

第5回 不忮 不求 何用不臧・・・

不忮 不求 何用不臧

子路終身誦之

子曰是道也 何足以臧

忮(そこな)わず求めず何を用てか臧(よ)からざらん

子路終身これを誦す

子曰く 是(こ)の道や何ぞ以て臧しとするに足らん


人に害を与えず無理な要求もしない。そうすれば善くないことは何もおきない

ということを子路は信条として口ずさんでいた

しかし孔子はそれをきいて それだけではとても善いとはいえない、と。


これは私自身、ちょっと耳が痛いところがあります。

「人に害を与えず無理な要求もしない」

もともと無理強いすることが嫌いな性分で、

でしゃばらず、おせっかいしすぎず、を是としてきました。

元来母親譲りと思しきお節介的な性格という自覚があり、

「親切の押し売り」「自己満足だけのお世話」をしないように、

という、自分に対するブレーキのような気持ちがあるからです。


「こうした方がいいよ」という言葉がよく浮かんできます。

でも次の瞬間に「本当にその人にとってそうした方がいい、と言えるのか」

という言葉が、先の言葉を打ち消してしまうのです。


私は相手のことを全て知っているわけではない。

またこの世の中のことも知らないことばかり。

そんな自分が、あたかもこれがこの世の最善と言わんばかりの

大言壮語をはたいて恥ずかしくないのか・・・


何がよくて何が悪いのか

何が得で何が損なのか

環境や当事者によって同じ現象でも評価が分かれることはよくあります。

だから「こうした方がいい」とは言えないけど

「こういう考え方があるよ」と伝えることはできます。

それも求められたら、です。

私からは言うことはハバカれます。


もうちょっと積極的に貢献しなさい、

そう孔子に怒られそうです(笑)



出展:イースト・プレス まんがで読破「論語」



「第4回 徳不孤 必有鄰」

「第6回 可與言而不與之言失人・・・」

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