Columns|コラムシリーズ10【ものづくりに見る価値の創造】全10回

第1回 価値の源泉

独立して痛感したのは、「だまってお金は入ってこない」ということ。当たり前の話なのですが、サラリーマン時代には実感が難しかったです。

自分の仕事が本意、不本意に関わらず、有休という制度のもとに会社を休んだ日があったとしても決まった日に決まった額が銀行口座に入金されています。

もちろん自身の行動があってのことですが、「なぜお金が入るのか」という本質的なところに触れなくても済んでしまう世界があるのは事実です。


ではお金はどうやって入ってくるのでしょうか。それはこちらが顧客にとって「価値あるサービス」を提供しているからです。

では「価値」はどうやって産むのでしょうか。数年前に元上司からこんなことを教わりました。


「変化をもたらすことが価値なのだよ。変化をもたらさないことには価値はない」


私はこのフレーズを引用させてもらいます。この言葉を聞いて、私にとって「価値」の定義はここにあると共感したからです。

大根を八百屋で買えば1本100円かもしれません。でもこの1本をおでんにしたら1切れ100円になって1本で1,000円になるかもしれません。1本100円が1,000円に価値がついたのです。

1,800円払って映画をみたとします。「面白かった」「感動した」そんな気持ちになることを期待してお金を払っているはずです。

これは自分の気持が変化するという期待感に価値を認めているということです。なので、つまらなかったら期待を裏切られるわけでとても残念な気持ちになりますね。


1760年代からイギリスを皮切りに産業革命が世界中で発生します。その中心にあったのは「工場」です。

機械を使って材料を別の形に変化させ商品とすることで工場における生産・販売に価値が生まれたのです。

蒸気機関から始まり、電気、通信、交通などたくさんの発明、発見を経て飛躍的に経済が発展していきます。

機械、電気、材料、土木、建築、化学、物理など様々な専門家が役割分担をして、ただの材料を商品という形に変化させたのです。

技術の進歩にともない、ハードウエアを作る行為すなわち“ものづくり”が主役を担っていました。


最近エンジニアといえばプログラミングする人を指すようですね。実際プログラミングを通じていろいろなことができるようになりましたしむしろアプリケーションがないと何もできない時代になってきたので、 今の時代必須の“技術(スキル)”なのかもしれません。

「ハードウエア」と対比してこちらはよく「ソフトウエア」と言われます。ただソフトウエアも、ハードウエアがなければその威力は発揮できないので実はハードウエアもソフトウエアもどちらが欠けても意味が無いのです。

ところが安価に中国などから入手できるようになったハードウエアは段々とブラックボックス化してきました。

電気回路がICチップになって中身がブラックボックス化したように。日本でものづくりに携わる人が減ってきたことも大きな要因でしょう。


今日本では「ものづくりからことづくりへ」という言葉をよく目にします。日本が製造を担っていた高度成長時代ではものづくりが経済を牽引してきました。

製造の役割が中国他に移り、オーナス期に入ったことで経済の主役は“ものづくり”から“ことづくり”へ移行しようとしています。

“つくる”対象は変わっても「価値の産み方」は「変化をつくること」という本質的なところは変わらないと思っています。


“ものづくり”を知る人が少しずつ減ってきている中、自分の“ものづくり”の経験を記録に残すことで「価値を産む」流れが少しでも伝わればといいなと、淡い想いをもってこのコラムをまとめてみようと思います。

ここでいう“ものづくり”は「ハードウエア(形あるもの)の製造」という狭義で扱っていきます。



次回はものづくりの役割について包括的にご紹介します。

第2回「ものづくりにおける役割」

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