Columns|コラム【論語と私】全11回

第7回 君子坦蕩蕩 小人長戚戚・・・

子曰 君子坦蕩蕩 小人長戚戚

子曰 君子泰而不驕 小人驕而不泰

君子は坦(たん)として蕩々(とうとう)たり 小人は長(つね)に戚々(せきせき)たり

君子は泰(ゆたか)にして驕らず 小人は驕りて泰ならず


君子というものはいつも穏やかでゆったりとし傲慢ではない

小さい人は傲慢でいつもビクビクしている、という意味だそうです。


言われてみると

自分の地位や既得権益に固執する人は、

人にいばり散らして、同僚やお店などで大きな態度をとるくせに、

なにかそわそわしていて落ち着いていない、

そんなドラマや漫画などにでてくるキャラクターのイメージが

浮かんでくるのではないでしょうか(笑)

私もそんなイメージがうかんできました。


でも人のことをそうやってみることはあまり意味のないことだと思います。

なぜなら少なくとも私には、そう見えた人の人生はほんの一部しかしらないわけで、

本当のとことはわからないからです。

なので私自身をみつめてみました。そんな人ではなかったか、と。


私は会社勤めしていた時、実は傲慢でビクビクしていたかもしれません。

正直「傲慢」な人は好きではありませんし、自分が「傲慢」であることも許せません。

それでも実は傲慢だったんじゃないか、と思えるのです。


開発設計のチームに入って以来、

全くの素人で周りのメンバーに対して専門性で大きく出遅れていた私は、

遮二無二働いてプロジェクトマネージャーにまでなりました。

組織上も管理職になり、上司からも高く評価していただいていました。

年齢的にも社内で管理職になったのはかなり早い方に属していたので、

自分の成長には満足していました。

今思うと、この時の自分は

「自分がプロジェクトマネージャーであり、全責任を持っている」

という自意識がとても強かった気がします。

ある時海外販社から、ある文句を言われたことがありました。

出荷に関連したことについてだったと思います。

私はその時に「今の俺の状況に立てばわかるはず」といった気持ちで

半ばうんざりした気持ちで対応していました。

これです、かなり傲慢だった自分が現れてたのは。

相手が困っていることに正面向いて耳を傾けず、

自分がプロジェクトマネージャーだから、といって

自分の大変さを相手に理解させようと押し付けていた言動です。

会社から得た権益(プロジェクトマネージャーというポジションと裁量権)に

とらわれていて、そのポジションを手放したくない、と無意識なんですが、

ビクビクしていたのではないかと思えるのです。


今は会社を辞めて自分で立ち上げて仕事をいただいております。

でも時には方針が合わずに継続できなくなる恐れもあり得ます。

以前だったら、その仕事を失うことをおそれて

あれこれ悩んだり不安になっていたかもしれません。

でも今は「なくなったらそれはそれ。また一からやればいい」と思えるようになりました。

なので、びくつく必要はないし、虚勢をはる必要もありません。


自分は君子とは思いませんが、自分の中でもそんな変化を感じます。



出展:イースト・プレス まんがで読破「論語」



「第6回 可與言而不與之言失人・・・」

「第8回 君子喩於義 小人喩於利」

アルメータ株式会社
TEL: 03-6313-4077
Email: info@almater.co.jp